『朝日新聞』2006年7月7日付

研究者に背番号制 研究費の集中防止に


 研究者に背番号をつけ、国の研究費をいくら獲得したかがひと目でわかるデー
タベースづくりに国が乗り出した。一部の研究者への過度の集中や重複を防ぎ、
研究費を有効活用するため。研究費の不正使用対策と並ぶ科学技術予算改革の
目玉として、7日発表された「骨太の方針2006」に盛り込まれた。

 総合科学技術会議の要請で、文部科学省を中心に、内閣府、厚生労働省など
8省庁が協力する。申請者に背番号を割り当て、申請から審査、採択、支給、
成果の評価まで検索できるようにし、集中や重複の防止に役立てる。来年度中
に完成させる。

 同会議事務局は「優秀な研究者が多額の研究費を獲得することは競争原理の
観点からは問題ないが、物理的に使いきれないほどの額が一個人に集中するの
は明らかに問題」としている。

 総合科学技術会議が昨年、国の研究費の支給状況を調べたところ、一人で年
間10億円近くも研究費を獲得した研究者がいたほか、別の省庁の似たプロジェ
クトの研究費が、同じ研究者に重複支給されていたりした。

 こうした集中や重複は、省庁間の情報交換が不十分だったり、研究者の知名
度のみで研究費の配分先が決められたりしているため、と指摘されていた。

 国の研究費で最も額の多い、文科省が管理する科学研究費補助金ではすでに
背番号制が導入されており、国内の大学や研究機関の研究者約20万人が登録
されている。