『産経新聞』2006年7月5日付

文科省、研究支援を重点化 件数半減し額倍増


 文部科学省が世界水準の研究教育拠点を育成するための財政支援策「21世
紀COEプログラム」に代わり、来年度から新たな支援策(ポストCOE)を
始めることが4日、分かった。支援する拠点数を半減し、1件あたりの支援額
を倍増させることで"ばらまき型"から"重点型"にシフトする。10日に開かれ
る科学技術・学術審議会に報告し、平成19年度概算要求に盛り込む方針だ。

 COEとはセンター・オブ・エクセレンスの略。現行制度は14年度から開
始した。初年度の採択件数は50大学113件だったが、公募の最終年度とな
る16年度には、延べ93大学274件に拡大していた。教員の論文数が1割
増えたり、国内外の大学や研究機関、企業との共同研究が5割増となる成果を
得たものの、審査委員会の委員からは「世界水準の拠点を育成するには対象数
が多すぎる」などと批判の声も出ていた。

 ポストCOEでは、支援対象を現行の約半数の150に絞って厳選。1件あ
たりの平均支援額は現行の1億2400万円程度から倍増させて重点化をはか
る。

 すべての学問分野を対象に公募するが、審査の区分は生命科学や社会科学な
ど現行と同じ10分野が基本。学問的ニーズの変化に対応できるよう、「学際・
複合・新領域」の分野は毎年公募する。現行制度で採択されたCOE拠点も除
外せずに全分野で新たに募集する。他大学と連携した取り組みも対象にする考
えだ。

 ポストCOEのあり方をめぐっては、中央教育審議会が昨年9月の答申「新
時代の大学院教育」で、「ポストCOEプログラムを検討し、より充実・発展
した形で具体化していく必要がある」とした上で、「基礎研究の場の多様性の
確保、学際・融合・新領域の創成の観点から、すべての学問分野を範囲として
重点的支援を実施すべきだ」と提言していた。