『読売新聞』2006年7月4日付

教育基本法改正案、議事録作成できず…鳩山氏発言巡り


 先の通常国会会期中の5月16日に教育基本法改正案が衆院本会議で審議入
りした際、民主党の鳩山幹事長が自民、公明両党の“密室取引”と批判したこ
とに対し、両党が発言削除を求め、1か月半以上経過した今なお、議事録が作
成できない事態となっている。

 衆院本会議では、小坂文部科学相が改正案の趣旨説明を行い、各党が代表質
問を行った。政府の改正案では、愛国心について、「我が国と郷土を愛する」
として、自民党が主張する「国」「愛」の文言を盛り込んだ。宗教教育に関し
ては、公明党が「宗教的情操教育はなじまない」などと訴えた通り、「宗教に
関する一般的な教養」との表現を用いた。

 鳩山氏はこの点について、「密室の中で自民党の主張する愛国心と、公明党
の主張する宗教教育をバーターするというもってのほかのことを行っている」
と批判した。これに対し、与党は「事実無根だ」と猛反発し、議事録から発言
を削除するよう要求。衆院議院運営委員会で再三協議してきたが、6月18日
の通常国会閉幕までに決着がつかず、河野衆院議長に一任されたまま膠着(こ
うちゃく)状態となっている。

 通常、国会の本会議や委員会の議事録は1週間程度で完成し、議員に配布さ
れるほか、衆参両院のホームページ(HP)でも公開される。与党と民主党が
鳩山氏の発言削除をめぐって争っていることで、その日の本会議のすべての発
言がHPで見られない状態が続いている。国民にとっては、迷惑な話と言えそ
うだ。