『高知新聞』2006年7月4日付

薬科新設、共学化で相違 県立大改革


 県議会の企画建設委員会(東川正弘委員長)が3日開かれ、県は県立大学改
革をめぐる高知女子大側などとの協議経過を報告。看護や社会福祉学部の拡充
では改革方向が一致したものの、薬学科や男女共学化では引き続き調整が必要
であると説明し、改革基本計画づくりが難航していることを明らかにした。

 看護学部は県立総合看護専門学校の廃止に伴い、入学定員を現在の40人か
ら平成21年度には80人程度に増員。社会福祉学部も同年度に70人程度
(現行30人)に拡充し介護福祉士の養成も始める――などで方向性が一致し
た。

 一方、生活科学部再編では、県立大改革検討委員会(知事の諮問機関)の提
言通り、生活デザインと環境理学科を廃止して健康栄養学科の1学科とする県
案に対し、薬学科を提案している女子大側は「(同科の設置問題の)結論が出
るまでは同学部再編は考えられない」などと主張。

 男女共学化についても学部再編時(21年度めど)とする県に対し、女子大
側は「将来の大学法人化の際に男子受け入れは検討する」など、主張に隔たり
があった。

 担当する県私学・大学支援課では、9月議会までに県立大改革基本計画を策
定する予定。ただ、同課は「財政状況などから薬学科設置は困難とする県の考
えには変化ない」としており、合意が図れるか不透明。

 同大の青山英康学長は「なぜ他学部学科の再編目標を看護学部拡充の21年
度に合わせなければいけないのか分からない」と、県の改革計画の時期設定に
疑問を投げ掛けた。

短大「廃止」は一致

 また県立高知短大をめぐっては、社会科学系学部の新設に伴い短大側と「短
大を廃止する方向で一致した」と報告した。

 短大が担ってきた社会人教育を発展させるため、新学部には「昼夜開講制」
「社会人入学制度」を導入。4年間での卒業が困難な人のため、長期履修学生
制度(5―8年程度)も取り入れる。また短期的な学習ニーズに応えるため、
特定分野の専門知識が学べる科目群履修制度を導入し、修了者には認定書を交
付――で一致。

 しかし、新学部について県側が法律教育を中心にした法務総合学部を提示し
ているのに対して、短大側は法律や経済経営などを学べる4年制社会科学部を
2月に提案。

 県案と短大案ではカリキュラム内容などが大きく違っており、中身について
は県も「調整が必要」としている。

 県側と協議を続けている仲哲生学長代理は「短大の案は四年制学部の中に短
大機能を残すもの。『短大廃止』で一致したといっても、短大を必要としてる
学生を受け入れることに変わりない」と話している。