『河北新報』2006年6月30日付

ポスドクの就職 経営塾が後押し 東北大・来月開講


 博士号の取得後も“定職”に就けない「ポストドクター(ポスドク)」対策
として、東北大は7月、若手研究者が経営感覚やマーケティング、コミュニケー
ションの能力を高める「高度技術経営塾」を開講する。博士の専門性を生かせ
る即戦力を育成、研究機関にとどまらない多様な進路を開拓する狙いだ。

 対象は東北大のポスドクや大学院博士課程の学生で、定員30人。東北の各
大学からも若干の希望者を受け入れる。本年度は7月27日に開講、3月末ま
で。

 「技術経営」「新事業企画」「組織マネジメント」などのコースを設定し、
塾生は少人数のゼミ形式を中心に専門性を仕事に結び付けるノウハウを学ぶ。
講師は学内の教授に加え、企業経営者ら実務者を招く予定。

 経営塾は、東北大が五月に設置した高度技術経営人財キャリアセンターが運
営する。センターは「キャリアアップ相談室」を設け、カウンセラーが個別に
面談して進路をアドバイス。企業見学や実習も企画し、学外との橋渡し役を務
める。

 国は若手研究者の底上げを図るため、1996年度に「ポスドク等1万人支
援計画」を打ち出した。2004年度のポスドクは推計で約1万2000人と、
前年度比で2割増えた。半面、大学の助手や研究機関の研究員など常勤の受け
皿は頭打ち。任期付きの研究職などを渡り歩くポスドクが多く、一般企業への
就職も「専門性の高さ」が逆に敬遠されている。

 東北大のポスドクは04年度で約500人。高度技術経営人財キャリアセン
ターは「理系、文系にこだわらず、実社会で活躍する人材を育てたい」と話し
ている。募集は七月12日まで。連絡先は同センター022(795)323
1。