『読売新聞』2006年6月29日付

大学などの研究費監査で文科省が新部署設置へ


 文部科学省は29日、研究費の不正使用防止のため、大学や研究機関の内部
監査ルールの策定や抜き打ち検査などを行う部署を設置する方針を固めた。

 同省が所管する12種類の競争的研究資金を横断的に担当、資金の受け入れ
窓口となる大学や機関に厳格な管理体制を求める。

 早稲田大学の松本和子教授による研究費の不正受給問題を受け、同省は不正
使用対策の検討を進めている。検討チームは、現在の体制では十分な対応がで
きないとして、抜本的な見直しを行うことにした。

 研究費の管理責任を負う大学や研究機関が、実質的な経理を研究室にまかせ
ている実態の改善や、内部告発の機能的な運用が必要と判断。省内の窓口も一
元化し、大学や研究機関を指導したり、大学の監査体制をチェックする。

 検討チームは監査法人や民間企業を参考に、効果的な監査や内部告発の仕組
み作りを検討する。8月に報告書をまとめ、年内に大学などにおける研究費管
理の指針を策定する。

 同省では現在、科学研究費補助金や科学技術振興調整費など12種類の研究
資金について、資金を所管する各部署が不正の告発受理や調査を行っており、
一元的に検査する部署はない。