『毎日新聞』2006年6月29日付

県医大:自由な定員増、再申請−−県、構造改革特区で国に /福島


 県は28日、現在80人の県立医大医学部の定員増を、医師不足の実情に応
じて自由に行えるようにする構造改革特区の申請を、国に対して行った。県は
03年11月にも同様の申請をしたが、「定員を増やしても、卒業生が県内の
へき地医療機関に勤務するとは限らない」との理由で選考から漏れた。今回は
7月下旬にも最初の回答があり、この段階で選考から漏れても、その後の折衝
で認められる可能性はあるという。

 公立大学法人グループによると、県は今回、県内の公的医療機関に将来勤務
する同大医学部生に対し、奨学金制度を新設することを提案した。6年間で合
計2260万円を貸与する代わりに、卒業後9年間のへき地勤務を義務付ける
自治医大の制度を参考に、近い額を貸与するという。

 各都道府県ごとの人口10万人に対する医師数は、県内は全国で10番目に
少ない171人で、全国平均より30人少ない。各都道府県ごとの人口100
万人に対する医学部定員は、県内は全国で8番目に少ない38人だった。

 同グループの伊藤正晃参事は「前回選考に漏れて以降も、地域医療の現状は
悪くなる一方で、県立医大の定員増が最も有効な手段と考えた」としている。
【坂本昌信】