『毎日新聞』2006年6月28日付

香川大:残業代1.3億円未払い 法人化時、少なく算定−−労基署、是正勧告 /香川


 香川大(高松市、一井真比古学長)が04年4月に独立行政法人化した後の
約半年間、職員に所定の時間外労働賃金を支払っていなかったとして、昨年3
月に高松労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが分かった。未払い賃
金は595人の約5万時間分、計約1億3200万円にのぼるが、既に全額を
追加支給した。同大学によると、法人化の際の予算措置に危機感を抱き、人件
費を抑えるために残業時間を少なく算定したという。

 27日、会見して経緯を説明した同大学の高木健一郎理事(労務担当)によ
ると、法人化に伴い、職員は国家公務員から労働基準法の対象の法人職員とな
り、時間外労働も「月45時間以内まで」とする労使協定を結んだ。しかし、
法人化直後で予算配分が不透明だったため、職員の時間外労働賃金を、国立大
時代と同様の1人あたり「月14時間」分と算定して予算を計上。各部署ごと
に予算の範囲内で残業時間を処理していた。

 しかし、業務多忙化で残業時間が増えたため、04年10〜11月に職員の
実績に基づいて時間外労働賃金を支払うよう是正措置を取った。同年4〜11
月の未払い分の賃金については労基署の勧告を受け、改めて各部署で残業時間
を調査。昨年4〜5月に追加で支払った。

 高木理事は「是正勧告を受けたのはやむを得なかったと反省している。未払
いの賃金については、年度末まで様子を見て払うつもりだった」と話した。
【南文枝】