『西日本新聞』2006年6月24日付

歳出減12兆−14兆円か 歳出・歳入一体改革 政府・与党方針案了


 政府、与党は23日、財政・経済一体改革会議の実務者協議会を開き、歳出・
歳入一体改革の取り組み方針案を了承した。2011年度の基礎的財政収支の
黒字化に必要な財源不足額は、17兆円から16兆5000億円程度に修正。
地方交付税は一般会計ベースで06年度の総額水準の維持を確認した。

 政府、与党の方針案を最大限反映した場合、削減規模は国と地方を合わせて
12兆―14兆円程度となり11年度の財源不足額の半分以上をカバーできる
計算。ただ来年に参院選を控え与党の反発は根強く、削減額は縮小する可能性
もある。今後、自民党の中川秀直政調会長と片山虎之助参院幹事長が最終調整
して削減の全体像を固め、26日の実務者協議会に提示する方向だ。

 政府、与党の「削減の基本的な考え方」は、反対論に配慮し具体的な削減目
標はあいまいな記述が多い。公共事業費は「これまでの改革努力(前年度比3
%減)を基本的に継続」と明記。それに基づくと削減額は5.7兆円程度にな
るが、小泉純一郎政権を通じて削減が続いてきたため「これ以上は地方が持た
ない」との指摘が強い。

 社会保障関連では「過去5年間の削減実績を踏まえる」とし、地方負担分も
合わせ1.6兆円削減を想定。失業給付の国庫負担引き下げや生活保護見直し
を挙げたが、診療報酬など医療費は今後5年間で見直すとした。

 地方単独事業は3兆円の削減を目指す。経済動向により「柔軟かつ機動的な
対応を心掛ける」としているほか、公共事業費の削減と重複する部分の内訳が
明確でなく、実質的な削減額がどうなるかは不透明だ。

 教育関連は、人件費を除く伸び率を0.1%以下に抑制。防衛費は人件費を
含んだベースでゼロ以下に抑える。政府開発援助(ODA)は削減ペースを半
減する。

 公務員人件費(教職員含む)は、今後5年間で2.7兆円削減。地方公務員
の定員純減目標を6.2%とし給与水準の引き下げで達成を目指す。