『京都新聞』2006年6月20日付

“エース”院生に新奨学金制度
京都工繊大 本年度から


 次代を担う若手研究者の「エース」を育てようと、京都工芸繊維大は19日
までに、博士課程(博士後期課程)に入学した大学院生を対象とする新しい奨
学金制度を本年度から実施することを決めた。大学独自の資金による本格的な
奨学金の導入は、国立大では初めてという。

 制度は、法人化を機に卒業生や教職員、企業からの寄付によって設立された
大学基金(KIT基金)を原資にする。独創的で優れた研究テーマに取り組も
うとする大学院生に対し、毎年6人(うち1人は秋入学対象)に奨学金100
万円を支給、研究や国内外の学会参加などに役立ててもらう。

 科学研究費補助金など競争的研究資金が年々拡大し、法人化した国立大にとっ
て、産学共同研究も含め外部資金の獲得が大きな課題となっている。奨学金は、
優秀な大学院生の確保とともに、1年間研究に専念してもらうことで学会発表
などの研究実績を積み上げ、外部資金を獲得して次のステップに踏み出しても
らう狙い。

 工繊大は昨年度から、海外の提携大での短期研修や、教員に同行しての研究
教育指導アシスタントなど、大学院生対象の国際教育プログラムを実施してお
り、今回実施する奨学金制度とあわせ、国際的に活躍する人材を育てる。

 古山正雄副学長は「博士課程に入った大学院生は将来の経済的な不安もある
だろうが、研究のスタートダッシュに力を貸して、自ら外部資金を取ってこれ
る研究者を育てたい」と話している。