『神戸新聞』2006年6月16日付

兵教大大学院、教員リーダー養成へ 2つの新専攻設置


 兵庫教育大は十五日、来年度から教員のリーダー的存在を養成する新専攻を
大学院に二つ新設すると発表した。院生を実際の教育現場に「漬け込む」のが
特色で、修士論文も課さない。中央教育審議会が検討中の教職大学院を見据え
た大学院の専攻は、全国的にも珍しいという。

 比較的キャリアの長い現職教員を対象に、校長らを養成する「学校指導職専
攻」(定員二十人)と、現場の教育水準を押し上げる教員を育成する「教育実
践高度化専攻」(同八十人)。教育実践-には、授業のスペシャリストを育てる
コースや小学校の教員免許取得もできるコースなど三コースを予定する。全体
の定員は変えず既存の専攻を改組する。

 従来の教育では、大学院での研究成果が見えにくかったという反省を踏まえ、
両専攻とも、現場から離れた研究に陥りがちな「修士論文」は課さない。一方、
実際の教室で、各校の抱える課題などを一緒に解決する実習を必須とした。ま
た、新専攻で予定する教員の約四割を、教壇に立つなどした経験者にしようと、
精力的に新規採用している。

 同大は「これまでは個人の資質向上が主眼とされていたが、新専攻では、学
校の核となるリーダー教員を養成したい」と話す。(霍見真一郎)