『毎日新聞』2006年6月14日付

北海道大:女性研究者の支援室設置へ 夫婦の職探しも


 女性研究者の数を増やして、大学を活性化するため、北海道大は7月1日、
女性研究者支援室を設置する。若手研究者が夫婦で仕事を続けるための研究職
データベースづくりなど、女性研究者増員のための具体的な施策を立案、展開
する。

 同大の女性教員の比率(昨年12月現在)は7.0%。教授は3.5%、助
教授は6.1%と低く、工学や経済研究科などは女性教授がゼロ。全国平均の
16.7%(昨年5月現在)を大きく下回っており、2020年までに20%
に引き上げることを目標に掲げる。

 同大の調査では、既婚の女性研究者の夫の6割が研究者という結果が出てお
り、女性研究者を増やすには夫婦で仕事を続ける環境を整えることが不可欠。
このため、支援室が中心となり、道内の研究機関や企業などの研究職採用情報
をデータベース化し、夫婦の“職探し”を支援する。また、女性研究者のネッ
トワークを構築し、子育てなどさまざまな悩みや問題の解決に向け側面支援す
る。

 同大では女性研究者を採用した場合、本部が人件費の一部を上乗せして各学
部に支給して採用意欲を高める制度を導入しており、支援室が本部と各学部を
つなぐ窓口となる。

 同支援室には特任教授1人と事務スタッフ2人の計3人が常勤する。同支援
室長に就任予定の有賀早苗・農学研究院教授は「私も子育てや父親の介護を経
験した。個々の事情に柔軟に対応し、女性のチャンスを広げる基盤整備につな
げたい」と話している。【千々部一好】