『河北新報』2006年6月15日付

医大定員増を特区提案 一律規制緩和を要望 福島県


 福島県は、医師不足対策として、県立医大の医学部定員(80人)を増員で
きる構造改革特区を設けるよう、今月中に内閣府に提案する。国が各県の人口
当たり医師数のばらつきを考慮せず、全国一律に医学部定員を抑制するのは過
剰な規制だとして、定員増を認めていない文部科学省の大学設置基準の緩和を
求める。増員枠は一定期間の県内勤務を条件にした奨学生枠とする。

 福島県の人口10万人当たりの医師数は171人と、全国平均の201人を
下回り、全都道府県中38位。医師不足の解消には県立医大の定員増が不可欠
と判断した。提案では(1)公立大学法人である県立医大の定員増は本来なら
届け出事項である(2)医師不足の地域に対しては大学設置基準を緩和すべき―
などと求める考えだ。

 人口当たりの医学部定員も全国40位。県は「石川、鳥取、島根など人口当
たりの医学部定員が多い県は医師数も多く、定員と医師数には相関関係がある」
と主張する。

 県は2003年にも同様の特区を提案したが、内閣府は「増員分が福島県内
で働くとは限らない」と認めなかった。今回は、増員分は県内の公的病院で一
定期間勤務することを条件とした奨学生枠とする制度を盛り、医師不足対策と
しての有効性をアピールする。

 医師養成については、国が1982年に「将来の供給過剰を防ぐ」と閣議決
定で抑制方針を打ち出し、文科省の大学設置基準でも医学部の定員増を認めて
いない。構造改革特区提案は今月末に締め切り、10月までに可否が決まる。
認定されれば、県は県立医大と増員数などを協議し、具体的な実施に向けた申
請をする。