『朝日新聞』2006年6月15日付

研究費不正対策、全国の大学を調査へ 文科省


 国の研究費を使う研究に対する不正防止策が整備されているか、全国の国公
私立大などを対象に文部科学省は初めて実態調査に乗り出す。告発窓口の設置、
不正行為に対応する方針や基準の有無などを調べ、8月には集計結果を公表す
る。

 調査対象は国公私立大と大学共同利用機関のあわせて約720機関。

 論文のデータ捏造(ねつぞう)や改ざん、盗用など研究上の不正が後をたた
ないため、文科省の委員会が今夏をめどに、不正防止策の指針を作っている。

 指針案には、不正と認定された研究者への罰則規定が盛り込まれるが、肝心
の認定作業は各機関がそれぞれの基準で設置する調査委員会にまかされる方針
だ。現状では、基準や規則などは「必ずしも整備されているとはいいがたい」
(同省)ため、現状把握をし、未整備の機関には整備をうながすことにした。

 告発窓口は、研究費の不正利用疑惑も受け付けることになる。

 文科省が所管する科学研究費補助金などの競争的研究費は年々増加し、昨年
度は3600億円が支給された。