休息時間廃止関連資料

he-forum 各位

        山形大学職員組合書記長 品川 敦紀

先日来、ご紹介しております休息時間の廃止と終業時刻の繰り下げに伴う実質的労働時間
延長、残業代カットという著しい不利益変更に関して、会社側労務担当者向けの労政研究
所のQ&Aにちょうどいい回答がありましたので、そのサイトをご紹介いたします。

http://www.rosei.or.jp/service/faq/faq0/faq0403_03.html

ちなみに、その回答では、このように回答しております。今回の大学側の対応は、回答者
が「合理性がない」といっている対応そのものです。

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Q 工場と本社の労働時間を統一する場合の法的留意点

当社の所定労働時間は、本社が7時間30分、工場が7時間45分です。本社の時間を15分延長
して工場と所定労働時間を統一したいと考えています。現状では、労働組合との話し合い
を通じて、何とか賃金はそのままで本社の時間を延長したいと考えていますが、法的に留
意する点を教えてください。 (大阪府 A社)

A ご質問では、工場と本社との労働時間を統一するために、工場の労働時間を15分間延
長して7時間45分にしたいとのことです。賃金はそのままという意向ですから、労働者か
らみたときは、労働時間の長時間化と時間外賃金の減少という直接的な不利益が生じるこ
とになります。
 上記の2事件(注 羽後銀行事件、函館信用金庫事件)と比較すると、変更の必要性と
いう点で合理性の根拠が乏しいでしょう。また、そもそも本社と工場とで所定労働時間を
異にしたのには理由あるいは経緯があったのでしょうから、それを否定するだけの理由が
必要となってきます。さらに、労働者にとってこの変更は不利益なだけであり、休日の増
加などの利益はまったくありません。所定労働時間が長くなり、時間外賃金も減少すると
なれば、何らかの代償措置をとることが適切でしょう。したがって、ご質問のように労働
条件変更を単に就業規則の不利益変更で行った場合、合理性は認められ難いと考えざるを
得ません。
 そこで、実務的に対処するとすれば、一つは代償措置をとって就業規則変更の合理性を
確保する方法があります。
 具体的には、休日を増やしたり、延長された労働時間相当の賃金を支払うなどの措置を
とります。もう一つの対処方法は、労働組合との話し合いをよく行い、労働協約の締結に
まで至ることです。もっとも、これにより、就業規則の不利益変更に必要な合理性は高ま
りますが、十分といえるかは個別判断となります。ご質問のケースでは、不利益を被るの
は本社の労働者だけですから、労働組合に彼らの意思が適切に反映されることが必要です
。本社での説明会の開催や資料配付は必須となるでしょう。
 労働時間の統一の必要性の程度が分からないので不十分な回答となりますが、法的留意
点としては上記のとおりです。あとは、トラブルになる可能性があれば、強行せずに上記
のようなプロセスを踏みつつ、代償措置を設けるか否かのリスク判断を行うことになりま
す。