『毎日新聞』茨城版 2006年6月13日付

筑波大:残業手当一部払わず 2回目の是正勧告−−土浦労基署 /茨城


 筑波大が、職員の残業手当の一部を支払わずに「サービス残業」をさせてい
たとして、土浦労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが分かった。同
大は勧告を受け入れ、今年1月分の未払い給与を5月分の給与に上乗せして、
該当する職員に既に支払った。同大は04年にも是正勧告を受けており今回で
2回目。

 同大によると、同労基署は今年2月3日、同大で立ち入り調査を実施し、事
務職員などの勤務実態を調べた。その結果、1月分給与で残業手当が適正に支
払われていないことが判明。同労基署は4月に是正勧告し、未払い給与を支払
うよう求めるとともに、昨年2月〜今年3月の全職員の勤務実態をアンケート
した上で、報告するよう指導したという。未払い給与の総額と該当職員数は明
らかにしなかった。

 同大は04年11月にも是正勧告を受け、05年4月から、就業時間を午前
8時半〜午後5時15分の定時制からシフト制に変更。残業制限も月45時間、
年間356時間から、月80時間、年間720時間に広げるなど、労使協定を
変更して対策を取ってきた。同大人事課は「意識改革が行き届いていなかった
ことは遺憾。きちんと調査して、指導に従い、改善策をとりたい」と話してい
る。

 全国大学高専教職員組合(本部・東京)は「旧国立大は従来、勤務時間、残
業代とも予算で決められており、それ以上は支払わないというスタンスで、サー
ビス残業の認識がなかった。独立行政法人になっても状況は同じ。労務管理が
ずさんなことが多く、早急に是正すべきだ」と話している。【三木幸治、栗本
優】