『しんぶん赤旗』2006年6月10日付

教育基本法改定案で院内集会 学者らから批判の声

 「政府・教育基本法案の拙速な審議に反対し、徹底審議を求める院内集会」
が九日、衆議院第二議員会館で開かれました。百人近い市民がつめかけた会議
室には「廃案に追い込むまで取り組みを広げよう」との声もあがりました。藤
田英典・国際基督教大教授や教育ジャーナリストの青木悦氏、国会で参考人と
して陳述した堀尾輝久・東大名誉教授ら多彩な二十二氏が呼びかけたもの。

 呼びかけ人の一人、子どもと教科書全国ネット21の俵義文事務局長が「ほ
とんどの国民が内容も知らない状況で、教基法を勝手に変えてしまうことは許
されない」と開会あいさつ。藤田氏は同法案の深刻な問題点を説明して、「何
が問題かが十分に伝えられないまま、ことが運ばれ、子どもたちの未来が左右
されることがあってはいけない」と訴えました。

 日本共産党の石井郁子衆院議員は国会情勢を報告するとともに、「内閣の顔
ぶれがどうなろうとも、秋の臨時国会が始まるころには、"教育基本法改悪案な
ど出せない"という情勢をつくるために、みなさんと大いに頑張っていきましょ
う」と呼びかけました。集会には、社民党議員、民主党議員秘書も出席しました。


子どもと憲法守ろう
「教育基本法改悪案廃案に」全国で宣伝


 「サッカーのワールドカップがはじまりました。平和でこそ、サッカーも楽
しめます」

 国会会期末まで一週間余となった九日、全労連や民主団体でつくる「教育基
本法改悪を許さない各界連絡会」と各地域の憲法改悪反対共同センターは、全
国の駅頭や街頭で憲法改悪と教育基本法の改悪に反対する一斉宣伝を行いまし
た。

 埼玉と東京では、それぞれ約百カ所で宣伝。大阪では約五十カ所で宣伝した
ほか、四つの地域で集会を開きました。

 東京・JR渋谷駅ハチ公前では夜、同連絡会が宣伝。東京都障害児学校教職
員組合の白瀬美弘委員長は「教育基本法改悪は子どもたちの未来を暗くするも
の。廃案にせよとの声を大きく上げてください」と訴えました。

 埼玉県川口市のJR川口駅東口で午前中、憲法改悪反対川口共同センターが、
強い雨が降るなか訴えました。

 憲法九条と教育基本法の前文や一〇条などを記載した埼玉憲法会議作製のポ
ケットティッシュが好評で、用意した五百個は宣伝半ばの三十分でなくなりま
した。

 ビラを手にとった市内の女性(70)は「教育基本法を変えることには絶対
に反対。戦前の修身教育に戻ってしまう。私も署名を集めています。力をあわ
せて頑張ります」。

 さいたま市のJR浦和駅西口の商店街では昼すぎ、新日本婦人の会浦和支部
が宣伝しました。

 「反対する大きな声が起こらず、とても不安でした」とカンパした行田市の
女性(50)は「戦後学校で憲法は国の基本だと教わりました。小泉内閣は憲
法や教育基本法を変え、向かう先は軍国主義の国です」と語りました。