『朝日新聞』夕刊 2006年6月8日付

国立大 特許で稼ぐ
05年度146機関調査


 企業から特許料収入を得る国立大学の数が増え始めたことが、文部科学省の
調査で分かった。企業との共同研究の件数も2年連続で増え、国が力を入れて
きた産学連携がようやく浸透しつつあると同省はみている。(嘉幡久敬)

 ◆1000万円以上、8大学に

 国立大と高専、大学共同利用機関を含む146機関を対象に調べた。05年
度に特許料収入があったのはこのうち48機関で、総額4億4600万円に達
した。前年度の28機関、4億1600万円に比べ、機関数は71%、金額は
7%増えた。

 年間1千万以上の収入があったのは、いずれも大学で8大学あった=表。0
4年度は名古屋大と奈良先端大だけだった。

 04年度の特許料では、1985年から87年にかけて名古屋大の赤崎勇名
誉教授が取得した青色ダイオード関連の6件による収入が全体の87%を占め
ていた。05年度はその一部の期限が切れて名古屋大の収入が半減したが、そ
の分を他大学の新たな特許収入が埋めた。

 特許料収入が2番目に多かった岩手大は、企業が使いやすいように、それま
でバラバラだった化学系の特許と情報系の特許を目的に合わせてパッケージに
して売りこんだところ、契約に結びついた。

 筑波大は発光ダイオードを使った眼底検査装置、東工大は半導体関連の装置
の特許がそれぞれ主な収入源という。一方、名古屋大の赤崎さんの特許は来年
1月までにすべて期限が切れる。

 このほか、大学と企業の共同研究も、件数、金額ともに前年度比約20%増。
企業からの受託研究の件数も15%増えていた。

 ◆05年度特許料収入が多かった国立大学(文科省調べ。金額は概数)
 1.名古屋大      2億円
 2.岩手大       4800万円
 3.筑波大       3500万円
 4.北海道大      2000万円
 5.東京工業大     1800万円
 6.奈良先端大     1700万円
 7.東北大       1100万円
 8.京都大       1000万円