『河北新報』2006年6月7日付

東北大など5大学 「アカハラ」許さない 指針提言


 東北大など5大学の学生相談担当者でつくるアカデミックハラスメント(ア
カハラ、教育研究機関での権力を利用した嫌がらせ)対策の合同研究協議会が、
アカハラ防止ガイドライン作成の提言をまとめた。事例に応じた対応や防止策、
相談者へのケアなどを盛り込み、全国の各大学に作成の必要性を訴えている。

 協議会には東北大のほか、北海道大、東大、東京工大、九州大が参加。20
04年に仙台市であった全国学生相談研究会議で、理系を中心にアカハラが深
刻化している実態が明らかになったことから、5大学の担当者で結成した。

 提言はアカハラを(1)研究の妨害(2)進路の妨害(3)身体・精神的な
暴力―などに分類。増加の背景として、国立大の独立行政法人化に伴う業績の
競争激化などを挙げている。

 実際の相談を踏まえた模擬事例は、指導教員に研究成果を搾取されたり、教
員の攻撃的な言動に悩んだりする大学院生、上司のセクハラを指摘したことで
嫌がらせを受ける助手のケースなど5件を提示。被害者、加害者の心理状態や
カウンセラーのかかわり方などを具体的に解説している。

 提言は46ページで、06年に東北大と東大がアカハラ防止について定めた
ガイドラインや指針も紹介。3000部を作り、各国立大と全国の主要公私立
大に提供した。

 協議会の助言役で、東北大ハラスメント相談顧問の仁平義明教授は「『人間
の尊厳を守る』という目標を強調した。提言が多くの大学に対応を促すことを
期待している」と話している。