『日刊工業新聞』2006年6月2日付

経産省、国の研究開発プロジェクト成果を産学で有効活用へ

 経済産業省は国の研究開発プロジェクトの最新技術成果を、人材育成や企業
の技術開発で有効活用できるようにする。プロジェクトの成果を普及する機会・
場を設け、技術やノウハウを大学院生らに教えるほか、企業に紹介して技術の
応用開発などにつなげてもらう。 これまで研究開発プロジェクトの成果はプロ
ジェクトに携わった関係者でしか利用されないケースが多かったが、活用でき
る場を設けて波及効果を高める方針だ。

 人材育成では、研究開発プロジェクトに携わった研究者の大学などに特別講
座を設置する。 大学のほか産業界からも人材を派遣し、最新技術を大学院生な
どに教え、人材育成を強化する。

 企業への技術紹介でも大学などに企業関係者が交流や研究できる場を設ける。
企業関係者は研究開発プロジェクトで開発した技術やノウハウを基に、さらな
る新技術の開発や応用研究で利用する。 状況に応じて技術使用料の支払いも行
う。

 経産省はこうした取り組みを年間5件程度のペースで進める方針。 京都大学
で実験的にスタートしており、05年度に終了した「デバイス用高機能特化ナ
ノガラスプロジェクト」の成果を基に人材育成や企業への技術紹介を行ってい
る。

 産学連携で行われる国の研究開発プロジェクトはおおむね3―5年で終了す
るが、その成果を有効活用するのは研究に携わった企業や研究者で終わってし
まうケースが多い。 また、プロジェクトはスタート時は注目されるが、その成
果がどのように生かされ普及しているかは、政策評価は行われるものの、はっ
きりしない状況にある。