『朝日新聞』2006年6月4日付

大阪大医学部、「独立助教授」創設へ


 助手や助教授などの中堅研究者に独創的な研究に取り組んでもらおうと、大
阪大学医学部が全国的にもユニークな「独立助教授」制度を創設する。年間1
000万円の研究費を5年間与えて研究に集中させ、成果が上がれば、教授へ
の優先的な昇格を可能にする。来年度に4人の枠を検討中で、秋に募集を始め
る。

 医学部の研究室では、教授に権限が集中しがちで、助教授や助手らが自由に
研究費を使い、独自の研究に取り組むことが難しい場合がある。

 「独立助教授」には年間1000万円を最長で2期10年間与える。研究費
を調達できれば、教授の権限だった研究スタッフの雇用も自由。ただ、それま
での所属研究室から完全に「独立」して研究することが前提となる。

 文科省は学校教育法を改正し、「教授を助ける」との職務規程のあった助教
授を来年度から廃止、教授とは独立して教育や研究を行う准教授と助教という
役職を新設する。ただ、大学関係者の間には「現行の助教授は准教授に、助手
は助教に肩書が変わるだけで、実質は変わらない」との声もある。

 同学部では准教授以外に「独立准教授」などの名称で格上の独立助教授を新
設、差別化を図る。

 遠山正彌医学部長は「教授のもとで才能を眠らせてしまっている助教授や助
手は少なくない。独立心旺盛な研究者を集めたい」と話している。