共同通信配信記事 2006年5月30日付

教基法など成立断念 今国会 首相「会期延長せず」 自民に指示


 政府、与党は30日、6月18日までの今国会会期を延長しない方針を固め
た。小泉純一郎首相が30日午前、自民党の細田博之国対委員長と終盤国会の
対応について官邸で協議し「会期は延長しない」と指示した。社会保険庁改革
関連法案や教育基本法改正案などの重要法案は今国会での成立を断念、継続審
議とする。会期延長の見送りで、9月の自民党総裁選に向けた動きがさらに本
格化する。

 「共謀罪」新設の組織犯罪処罰法などの改正案も、民主党と修正合意に至る
可能性は極めて低く、今国会での成立は見送られる方向。憲法改正手続きを定
める国民投票法案も継続審議となるのは確実だ。

 首相は6月下旬の米国訪問や7月中旬の主要国首脳会議(サンクトペテルブ
ルク・サミット)などに力を注ぐ構え。延長見送りの背景には、世論の支持率
を堅持しながら総裁選に影響力を行使する狙いがあるとみられる。

 細田氏は、首相との会談で「会期中に残った法案をすべて通すのはなかなか
難しい」と説明。首相は「できるだけ精査して成立させるよう努力してほしい」
と求めた。

 社保庁改革関連法案は同庁を解体し公的年金業務を引き継ぐ「ねんきん事業
機構」の新設が柱。社保庁の国民年金保険料不正免除問題が拡大しており、
(1)会期中に成立を図るのは国民の理解が得られない(2)法案審議の過程
で野党側の批判を浴びるのは得策ではない―と判断した。総裁選後に予定され
る臨時国会での成立を目指す。