『日本海新聞』2006年5月27日付

「行革推進法」可決・成立 鳥取県内反応


 行政改革推進法など関連五法は26日、参院本会議で可決、成立した。地方
公務員の4.6%以上純減など、地方や国の行革数値目標が定められているが、
同法について地方公聴会が全国で唯一開かれた鳥取県内からは、実際の法律の
運用に当たって「効率化を求めすぎてはいけない」「国は地方の実情を十分に
把握していない」などと懸念の声も上がっている。

実情無視に疑問の声

 県町村会長の坂本昭文南部町長は「地方自治体の仕事は住民福祉の向上であ
り、効率化とは相反することもある。地方の実情が加味されない状況では、法
は絵に描いた餅(もち)になる」と厳しい見方。

 数値目標を掲げた地方公務員の削減については、「国に先駆けて町村は職員
を減らしている。地方分権を進めているのに、『財源もこない、人も減らせ』
では、地方自治体はいびつな形になる」と指摘した。

 職員数の削減は多くの市町村が取り組んでいるが、数値目標を掲げられたこ
とに対して疑問の声がある。

 鳥取市は第四次行革大綱に基づき、今後五年間で百三十二人(8・4%)の
職員削減を打ち出しており、同市の山根憲生総務部長は「国に指示されなくて
も、以前から厳しい人件費削減(職員減)の取り組みをしている」と言い切っ
た。

 今月十六日に鳥取市内で開かれた参院行政改革特別委員会の地方公聴会では、
「公務員の一律削減は弊害を生む」などの懸念が示されていたが、結局法律に
は反映されていない。

 地方公聴会で公述人を推薦した連合鳥取の安田邦夫会長は「数値だけが先行
するのは不安を覚える。効率化が進むことで格差社会の負の部分が広がってい
くことも考えられ、見守っていく必要がある」と警戒する。

 鳥取県の片山善博知事は、行革関連法成立を受けて「理想的なものではない
が、行革を押し進める『てこ』になる。大きな一歩」と一定の評価を示した上
で、「行革に取り組んできた地方自治体と、そうでない自治体とはかなりの差
がある。総務省が全国一律の基準でプランを作れとか、愚かなことはやらない
でほしい」と政府にくぎを刺した。