『毎日新聞』大分版 2006年5月29日付

教育基本法改正:改悪ストップ!「愛国心」強要反対−−大分で4100人集
会 /大分


 「愛国心」の育成などを盛り込んだ教育基本法改正案に反対する「教育基本
法改悪ストップ!大分県集会」が28日、大分市中央町の若草公園であった。
県教組や高教組などの団体、個人が実行委を作り、県内各地から約4100人
が参加した。【小畑英介】

 まず実行委員長の岡村正淳弁護士があいさつ。「国の愛し方にはさまざまな
方法があり、戦争や国策に反対することが真の愛国である場合もある。『愛国
心』の育成を基本法に盛り込めば、国の愛し方を時の権力者が決めて子供や国
民に押し付けることになる。戦争に対する歯止めを失わせる」と訴えた。

 保護者、教職員、戦前の教育体験者の3人が「リレーアピール」。戦争中、
県立病院で助産婦として働いた豊後大野市緒方町の増永スミ子さん(82)は
「新しい命をはぐくむ仕事につきながら、私たちには死地に赴く兵隊たちに
『行ってらっしゃい』という言葉しかかけることが許されなかった」と回想。
「基本法が変われば、戦争のため愛国心を押し付けたころと同じになる。人間
愛と異なる『愛国心』はいらない」と訴えた。

 最後に「政治主導で性急に進められている国会の議論が、子どもたちのため
の『改正』ではないことは明らか。基本法の理念を生かしてすべての子どもた
ちが尊重され、発達の可能性が等しく保障される教育こそが求められている」
などとするアピールを採択。市中心街をデモ行進した。

 教育基本法は日本国憲法の精神にのっとり、戦後の教育制度や施策の基本的
なあり方を示した法律。「教育の憲法」とも呼ばれる。政府は教育の目標の一
つに「我が国と郷土を愛する態度を養う」ことなどを盛り込んだ改正案を現国
会に提出している。