『朝日新聞』2006年5月27日付

国会「延長せず」で最終調整 教育基本法など継続審議へ


 政府・与党は26日、最重要法案としてきた行政改革推進法の成立を受け、
今国会は延長せず、6月18日の会期末で閉会する方向で最終調整に入った。
会期延長に否定的な小泉首相の強い意向を受けたもので、残り会期では医療制
度改革関連法案の成立に全力を挙げ、憲法改正の手続きを定める国民投票法案
と教育基本法改正案は継続審議とする。防衛庁の省昇格法案は公明党の了承を
受け提出されても、今国会での成立は見送る方針だ。

 与党側は、共謀罪創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の成立の見通しが立て
ば、首相側と調整して短期間の延長に踏み切る余地をなお残している。ただ、
7月15日からの主要国首脳会議(G8サミット)を越えるような大幅な会期
延長はなく、7月に入れば自民党総裁選に向けた動きが加速することになりそ
うだ。

 首相は26日、沖縄県名護市で記者団に「会期延長は考えていません」と重
ねて表明。国民投票法案と教育基本法改正案について「会期内に十分審議を続
けて、できれば成立に持っていければと思っている」と述べ、両法案のための
会期延長はしないことを明確にした。6月29日のワシントンでの日米首脳会
談やサミットなど外交日程を控えていることもある。

 自民党は、こうした首相の意向を受け入れざるを得ないとの判断に傾いた。
公明党は教育基本法改正案などは今国会成立が望ましいとの立場だったが、
「秋の臨時国会までまたげばいい。防衛庁の省昇格法案も次の国会で優先的に
審議すればいい」(幹部)と容認した。

 ただ、19日に採決を見送った組織的犯罪処罰法改正案については、法務省
や自民、公明両党内に今国会成立を探る動きがなお残っている。週明けから与
野党が改めて修正協議に入るが、与党としては野党が審議拒否しない形で採決
できるかどうか、会期末ぎりぎりまで折衝を続ける方針だ。

 同法案成立の見通しが立てば、参院での審議時間確保に1週間から10日程
度延長したい考えだが、民主党は社会保険庁の国民年金保険料の不正免除問題
などで攻勢を強めており、妥協する可能性は極めて低い。