『朝日新聞』2006年5月23日付

幼児・高等教育の無償化も 教育基本法案、民主が提出


 民主党は23日、教育基本法改正案の対案となる「日本国教育基本法案」を
衆院に提出した。教育を「国政の中心」と位置づけ、「学ぶ権利の保障」をう
たっている。幼児・高等教育の無償化、地方・地域主体の教育行政や学校運営
を掲げたことも特徴だ。

 法案では、前文に「日本を愛する心を涵養(かんよう)」することを盛り込
み、宗教教育も「宗教的感性の涵養」を尊重することとしている(16条)。

 「学ぶ権利の保障」(2条)では、だれでも「健康で文化的な生活を営むた
めの学び」を十分に保障され、内容を選択、決定する権利があるとしている。
さらに、政府が教育振興の基本計画を定め「国内総生産に対する財政支出の比
率」を指標として盛り込む(19条)こととした。政府は義務教育費の国庫負
担率引き下げを打ち出しており、対立点のひとつとなっている。

 幼児教育(6条)や高等教育(8条)は「無償教育の漸進的導入」で教育格
差の是正を図る。

 地方が行う教育行政(18条)については、責任者を現行法の教育委員会で
なく首長とし、公立校は保護者、地域住民、教師らが参画する「学校理事会」
が「主体的・自律的運営を行う」としている。ただ、現行法で教職員が国の介
入に抵抗する根拠となり、政府案には盛り込まれた「教育は、不当な支配に服
することなく」という文言はなく、「教育行政は民主的な運営を旨として行わ
れなければならない」(18条)との言葉に置き換えられた。