『北國新聞』2006年5月24日付

優秀者を終身雇用 北陸先端大が新制度 「5年試用」人材を発掘 文科省採択


 北陸先端科技大学院大は今年度、若手研究者を五年間の"試用期間"を経て、
優秀な者だけに対し終身雇用のお墨付きを与える新しい人事制度を導入する。
文部科学省の科学技術振興調整費「若手研究者の自立的研究環境整備促進」
(総額二十五億円)に同大など九大学が選ばれた。任期制を採用する北陸先端
大では、再任が一回に限定される助手の場合、最長八年しか在職できない例も
ある。新制度の導入で、将来性ある人材を発掘し、同大に定着させることを狙
う。

 北陸先端大が取り組む「ナノテク・材料研究者育成の人材システム」では、
五年任期で八人の講師を公募で採用し、独立した研究室を運営させながら研究
や教育に当たらせる。五年目に教育、研究、運営などの実績を総合的に評価す
る審査を経て、六人程度を定年まで在職できる准教授に昇任させる。

 北陸先端大は、緊張感のある研究環境をつくるため、全国に先駆けて任期制
を実施している。助手や助教授は五―十年で評価を受け、優秀ならば再任され
るが、再任は一回のみ。最長でも八―十三年しか在職できず、任期制のない大
学に人材が流出するなどの問題点もあった。

 そこで同大は、優秀な人材には安定的な研究環境を与えて学問の自由を保障
する「テニュア(終身在職権)制」と呼ばれる人事制度を全学的に採用するこ
とを検討。手始めとして文科省の科学技術振興調整費を受けて若手研究者八人
に導入し、制度の確立を目指すことになった。

 潮田資勝学長は「若手研究者が自立的に活躍する優れた環境を整備し、教育
研究の活力を一層高めたい」としている。