時事通信配信記事 2006年5月19日付 数学研究環境が悪化=文科省研究所 文部科学省科学技術政策研究所は17日、日本の科学技術の基礎となる数学 研究の環境が悪化し、論文数や研究者の層などの面で国際的地位が低下してい るとする報告書を発表した。 報告書によると、日本の数学論文数は世界6位で、2000年に中国に抜か れた。博士号取得者の大学や企業でのポストが少ないなど人材育成面でもハン ディがあり、国の研究費補助に占める割合もこの10年で低下。一方、生命科 学などの他分野や産業界には、数学の専門知識を持つ研究者のニーズが高いこ とも分かった。 報告書は、17日に東京都内で開かれた日本学術会議シンポジウムで取り上 げられた。数学者側が「教育や雑務に追われ、研究時間がない」「短期間で成 果を要求される中で、研究費を得るのは難しい」などの問題点を指摘。「活性 化のため、産業技術研究者らと数学者が連携する拠点作りが必要」と提言した。 出席した企業研究者や他分野の研究者からは「連携の誘いを待つだけでなく、 積極的に参加してくるべきだ」「数学の研究者は関心が狭く、企業で採用する にはタフさがない」などと厳しい意見も出された。(了) |