nikkeibp.jp 2006年5月15日付

技術移転強化を狙って株式会社に出資、 新潟大学


 新潟大学は、承認TLO(技術移転機関)である株式会社の新潟ティーエルオー
(新潟市)に国立大学法人として初めて出資する。出資は2006年6月上旬に開催
される新潟ティーエルオーの株主総会で提案される株式増資の一部を、新潟大
が引き受ける形で実施する。

 今回、500万円を出資する新潟大は、増資後に新潟ティーエルオーの株式の約
7%を持つ筆頭株主となり、同社と強い絆を持つようになる。新潟大は研究成果
から生まれる特許などの知的財産を新潟ティーエルオーに技術移転してもらい、
特許のライセンス実施料などの収益を上げてもらう。その収益を前もって定め
た所定の割合で新潟大に還元してもらい、収益とする。

 一方、出資を受けた新潟ティーエルオーは、株式会社として事業収益の最大
化を図りながら、知的財産の最大の供給先である新潟大との連携強化を図る。
このことは、局面によっては新潟ティーエルオーは難しい舵取りを迫られる可
能性もある。新潟大の研究成果の内、当然、技術移転できそうな知的財産案件
は取り扱うが、技術移転できそうもない案件は取り扱わない、という判断を貫
くことがなかなかの難問だからだ。各研究成果の将来像をどう描くかによって、
技術移転案件としての可能性はかなり異なる。

 現時点で、41機関ある承認TLOの先行きを占う新潟大と新潟ティーエルオーの
連携関係について、新潟大学の長谷川彰学長と、新潟ティーエルオーの結城洋
司代表取締役社長に出資の意味を聞いた。