『日本海新聞』2006年5月14日付

教育基本法改正案 鳥取県弁護士会が廃案要求


 鳥取県弁護士会(河本充弘会長)は十三日、国会で審議されている教育基本
法改正案の廃案を求める会長声明を発表した。「思想統制への道を開くもの」
などと非難した。同法の廃案を求めた弁護士会の声明は、全国初。

 声明では「『(教育は)この法律および他の法律に定めるところにより行わ
れるべき』と改変したことは、国民の教育を受ける権利が法律の制限の下にお
かれる危険性がある」と指摘。

 また「『伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛す
る』態度を養うことが盛り込まれたのは、戦前のような思想統制への道を開く」
などと懸念を示している。

 さらに「検討会の議論が中間報告を除いてすべて非公開で進められ、国民に
開示されなかったことは極めて遺憾」としている。

 鳥取市東町二丁目の県弁護士会館での会見で、河本会長は「国家が教育を事
実上支配する内容と言わざるを得ない」と見解を表明。また、大田原俊輔副会
長は「『なぜ改正しなければならないのか』を国民に明示すべき」と非難した。

 県弁護士会は同日、声明を小泉純一郎首相や小坂憲次文科相らに送った。

 政府は四月二十八日、教育の目標を「わが国と郷土を愛する」とした教育基
本法の改正案を今国会に上程。六月十八日までの会期中の成立を目指している。
これに対し、民主党は前文に「日本を愛する心を涵養(かんよう)する」と明
記した対案を検討している。