『しんぶん赤旗』2006年5月12日付

文科省 天下り企業
OB営業で受注増
社長と連名、あいさつ状


 OB受け入れで社業の拡充発展を図ります―。文科省が所管する全国の国立
大学などが発注する管工事をめぐる官製談合疑惑では、同省OBの天下り企業
がその影響力を利用して業績をのばす実態が明らかになりました。参院行政改
革特別委員会で十一日、日本共産党の井上哲士議員が指摘したもの。公共事業
での官業癒着の構図が改めて浮かび上がりました。

井上議員調査

 文科省発注管工事では、管工事企業に天下ったOBでつくる「櫟(くぬぎ)
の会」会員のいる企業が、全体の七割を受注。一億円以上の随意契約では九割
以上を請け負っていました。

 文科省はOBの天下りについて、「見識や経験をかい適材適所に」などと正
当化しています。実態は、企業の業績アップのために天下り企業が営業力を発
揮しているのです。

 井上議員が示したのは、天下りを受け入れた中央電気工事(本社・名古屋市)
が、国立大学などの施設部門関係職員などに送ったあいさつ状。天下ったOB
は、関東地方の国立大学の施設部長を務めていた人物です。

 あいさつ状は社長名のものとOBの名によるもの二つが連名になっており、
それぞれ「このたび○○氏を弊社理事・常勤顧問として迎え、社業の拡充発展
を図ることといたしました」「今後は社業発展のため専心努力いたす所存」な
どと書かれています。

 さらに、ある国立大学の施設部門関係者によると、この二年間で、天下った
文科省OBが営業に訪れた回数は数百回以上にものぼるといいます。

 企業がOBを受け入れた直後、“持参金”ともとれる工事を受注している例
もありました。

 弘前大学(青森県)の元施設部長が〇五年六月一日、三晃空調(本社・大阪
市)に技術部長として天下りました。文科省のホームページで調べても、過去
三年半にわたり同社は同大学の工事を受注していませんでした。ところが、天
下りを受け入れた二カ月後には二億八千万円の設備工事を受注。入札参加企業
はすべて「櫟の会」会員のいる企業で、予定価格に占める落札額の割合は98・
1%と高率で、談合を疑わせるものでした。