『毎日新聞』2006年5月2日付

講座「国際協力論」:四国の国立大が次々開設 人材育成へJICAと連携 /
四国


 国際協力の現場について学ぶ講座「国際協力論」が四国の国立大で相次いで
開設されている。愛媛大では昨年度から始まり、学生らに好評だった。国際協
力機構(JICA)四国と愛媛、香川、徳島、高知、鳴門教育の5国公立大は
今春、国際交流の分野で連携を推進する覚え書きを締結した。これを機に徳島
大も今春から同講座を開設。香川、高知両大でも準備が進められており「四国
でも国際舞台で活躍できる人材を育成しよう」という機運が高まってきている。
【津久井達】

 愛媛大は昨年度、法文学部の専門科目として前期に全15回の講座として開
いた。「地域発の国際協力」をキーワードに、四国に拠点を置くNGOなどか
ら教育や医療の分野で国際的な活動をした経験を持つ講師を招いた。実体験を
基にした講義は学生たちに好評で、定員300人の教室が常に満員だったとい
う。講座終了後「国際協力に地理的条件はそれほど重要ではないことが分かっ
た」「松山でどんな国際協力ができるか考えるきっかけになった」といった感
想が寄せられた。

 四国のNGO25団体が参加する「四国NGOネットワーク」が講師の人選
をし、交通費や謝礼金はJICA四国が負担。大学を含めた3者が「人材の育
成」のために連携した形で、全国的にも珍しい運営方法という。徳島大でも同
様のスタイルで今月18日から全16回の予定で始まった。全学部の学生が対
象となっている。香川大は今秋から、高知大も来年度からの開設に向け準備が
進められている。

 愛媛大法文学部の栗田英幸・助教授は「学生たちには国際活動の様々な事例
に接することで、四国という地域を見直す視点を持つきっかけにしてほしい」
と話している。