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『日刊工業新聞』2006年4月26日付

首相、経済財政諮問会議で提案―産学連携の事例をアピール


 「産学連携の足りない点はどういうところか」。19日に開かれた経済財政
諮問会議(議長=小泉純一郎首相)の中で、議長の小泉首相による質問を皮切
りに、産学連携議論が活発に展開されていたことが、公表された議事要旨で明
らかになった。 小泉首相は「具体的にいくつかいい例を世間に知らせる。 そ
うすれば、刺激を与えるよ」と、産学連携事例のアピールを提案した。

 経済財政諮問会議が議論したテーマは「成長力・競争力強化について」。 諮
問会議の民間議員による提案と、小坂憲次文科相らの説明を受けて、小泉首相
が質問を発した。

 松田岩夫科学技術担当相は「大学トップと産業界トップがいかにも疎遠」で
「大学側の改革が遅れている」などと指摘。 奥田碩議員(トヨタ自動車会長)
は「ずっと昔から、教授とウチの会社の技術者との交流はものすごくあった」
と実態を説明した。 会議の話題は大学の独立行政法人化の現状や課題、競争的
資金を使った産学連携支援策、産学をつなぐ人材の問題などに及んだ。

 吉川洋議員(東大院教授)も「大学の方で企業に対してドアを閉ざしている
(中略)ことはない」と大学の立場から発言。 牛尾治朗ウシオ電機会長、竹中
平蔵総務相、二階俊博経産相、本間正明阪大院教授らの諮問会議議員も相次い
で議論に加わった。 小泉首相が、事例アピールは「(政府が支援するなど)具
体的にやった方がいい」と発言したところで時間切れとなった。

 財政再建戦略を決める「歳出・歳入一体改革」という厳しい改革議論が続く
経済財政諮問会議だが、経済成長戦略を決める「グローバル戦略」は「クルマ
の両輪」と位置づけられている。