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『朝日新聞』2006年4月26日付 声欄

博物館の観覧 値上げに驚く

会社員 諸井 克夫(川崎市多摩区 68歳)

 東京国立博物館ニュースを見て驚いた。独立行政法人化に伴い、自己収入目
標額が5割増しになり、国からの運営費交付金が大幅に減額されたため、10
月から平常展観覧料金を改定せざるを得なくなるとあった。

 入館料が一般は420円が600円に、大学生は130円が400円に、こ
れまで65歳以上は無料だったのが70歳以上に引き上げられるという。大学
生は3倍になり、65歳から69歳はただだったのが600円になる。利用者
へのとんだしわ寄せに、びっくりして博物館へ問い合わせてみた。博物館によ
ると、値上げによる入館者の減少も考えられるので、初年度半期の増収見込み
は、2700万円ほどだという。

 自治体の博物館の無料化が広がっているという記事(3月15日)があった
のに、おかしな話だ。

 政府・与党は「伝統を継承し、新しい文化の創造を」などと唱えている。だ
が、国立博物館の独立行政法人化で、国民の足が国立博物館から遠ざかるよう
なら、こんな言葉は空言であると言わざるを得ない。