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知財情報局 2006年4月24日付

国立大学施設老朽化改善へ、緊急対応整備課題示す


 老朽化により地震で倒壊が予測される施設などを緊急に整備しなければなら
ない。今後の国立大学等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議(主査=
木村孟大学評価・学位授与機構長)は3月31日、今後の施設整備の在り方に
ついて報告書をまとめた。

 第2期科学技術基本計画を受けて国立大学等施設緊急整備5カ年計画が実施
されていたが、平成17年度で終了するため、18年度以降の第3期基本計画期間
中に緊急に対応が必要な整備課題についてまとめたもの。同日、木村主査から
大島寛文教施設企画部長に手渡した。

 5カ年計画によって、優先的目標であった大学院施設の狭隘解消、卓越した
研究拠点、附属病院の整備については、概ね目標を達成したが、13年度以降に
設置された大学院のスペース等の新たな教育研究ニーズ等への対応が今後の課
題になってきている。また、老朽化施設については、一定の成果は上がってい
るものの目標の5割程度しか達成しておらず、さらにその後の経年による老朽
改善需要等が加わることから、今後の大きな課題となっている。

 一方、施設の有効活用については、共同利用スペースの確保や使用面積の再
配分の実施といった取り組みがずいぶん進展し、またPFI(42万平方メート
ル)や寄付(7万2千平方メートル)による整備、産業界や地方自治体との連
携による整備等が進んでいる。

 報告書では、こうした現状を改善するための新たな5カ年計画が必要だとし、
その中でも緊急に対応が必要な整備課題について3つ取り上げている。

 まず、老朽施設は約680万平方メートルあり、老朽改善を行わない場合、
15年後には約1200万平方メートルになる。そこで、毎年約80万平方メート
ルの整備を行えば、15年後には老朽施設の規模は約350万平方メートルとな
り、その後は年間約70万平方メートル整備していけば、安定的に施設の維持管
理・運営を行える状態になるという。そのため、今後5年間で約400万平方
メートルの整備が必要だとしている。老朽化した大学施設の中には、兵庫県南
部地震で倒壊した構造耐震指標を下回るものも多く、また電気容量不足や給排
水設備の老朽化など、安全性に問題のある施設が多い。

 次の重要課題が狭隘への対応だ。これまでの5カ年計画では、12年度までに
設置された大学院の施設についてはほぼ整備できたが、13年度以降に新たに設
置された大学院については対応していなかった。そこで、こうした新規大学院
分約45万平方メートルと、今後さらに拡充が予想される卓越した研究拠点(現
行5カ年計画の整備実績約34万平方メートル)についての狭隘化の解消を図る
ことで、大学の人材育成機能を強化する。

 さらに附属病院について、医療の専門化、高度化への対応等、一層社会に貢
献できる病院として再生させるため、機能の向上、耐震性等安全性の確保等の
ために、約60万平方メートルについて、着実・計画的な整備を推進する。

 文部科学省は3月28日の第3期科学技術基本計画の閣議決定と今回の報告
を受けて、新たな5カ年計画を策定する。