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『毎日新聞』2006年4月17日付

教育基本法改正案:与党内から早くも「継続審議」との声


 教育基本法改正案は自民、公明両党で合意したが、今国会への提出時期や成
立への取り運びについて、政府・与党内の足並みが定まっていない。小泉純一
郎首相は「国会の状況を見て判断したい」と繰り返すばかりで、与党内からは
早くも「継続審議」との声が出るなど、今国会での成立は不透明だ。会期延長
問題が絡むほか、民主党の小沢一郎代表の揺さぶりを警戒し、無用な対決構図
を招きたくないとの思惑もあるようだ。

 「与党や衆参全体で協議し、全体を見て判断するのが大事だ。民主党の意も
踏まえて判断したい」。17日に首相官邸であった政府・与党連絡会議で、首
相は教育基本法案の提出時期について、改めて慎重姿勢を見せた。

 自民、公明両党は足掛け3年以上、70回近い協議を重ね、13日に与党案
を合意した。武部勤、冬柴鉄三の自公両幹事長は早々に「今国会での成立」を
唱えているが、現段階でも提出時期の見通しをはじめ、特別委員会を設けるか
どうかも調整できていない。

 政府・与党は法案成立に40日程度の審議が必要としているが、焦点の「愛
国心」の表記などをめぐり、自民党内には「公明党に配慮した」との不満が根
強い。審議が長引く可能性があり、その場合は会期延長論に発展、9月の自民
党総裁選にも影響しかねない。ある自民幹部は「どうしても今国会でバタバタ
とやるような法案ではない」と述べ、党内の微妙な駆け引きをうかがわせる。

 さらに与党内には、対立軸を狙う小沢氏が「与党案に必ず反対してくる」
(公明幹部)と警戒する。与党案に不満な自民議員や、もともと法改正に慎重
な公明党がグラつくところへ審議が長引けば、小沢氏に付け入る隙を与えかね
ず、与党幹部は「首相は民主党の出方を見て最終判断するつもりだろう」と見
る。

 ただ、公明側には来年の参院選への影響を懸念し、次期通常国会まで審議を
持ち越したくないとの事情もある。このため、ある自民幹部は「首相にやる気
があるのか疑問。ただ、来年の通常国会になれば公明党が反発しかねず、秋の
臨時国会か特別国会で成立させるのが常識だ」と着地点を分析してみせた。
【宮下正己】