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『中日新聞』2006年4月17日付

愛教大で研究休暇スタート
有給で職務離れ自己研さん


 大学の教職員が有給で一定期間の職務を免除され、研究や自己研さんに打ち
込む研究休暇(サバティカル)制度が本年度から刈谷市の愛知教育大で始まり、
事務職員一人が四月から一年間の制度休暇に入った。九月からはさらに教員二
人が半年間にわたり制度を利用するという。

 国立大学が独立法人化し教職員が公務員でなくなっため制度導入が可能となっ
たが、導入する国立大学は県内ではほかになく、全国でも愛教大のほか東京大
やお茶の水女子大など数例しかない。

 愛教大では十年以上の勤務者に最大一年間、七年以上は最大六カ月の休暇を
設定。希望者には事前に研究内容などを記した計画書の提出を求め、可否を判
断する。休暇の間は六割の給与が保障され、休暇後は研究成果などの報告書を
提出することになっている。

 今回は学生相談などを業務とする事務職員が、カウンセリングに役立つ心理
学の勉強のため一年間、二人の教員がそれぞれ語学研究、博士号取得のため半
年間の利用を希望し、認められた。

 制度は欧米の大学では広く導入されている。文科省は「教職員の資質向上や
優れた人材確保のための有効な取り組み」としているが、休暇中の代替教員の
確保など導入には課題も多い。愛教大の松田正久副学長は「大学側にも休暇利
用者の人件費削減などのメリットがある。他の教職員の負担は増えるが、優れ
た教職員の育成、魅力ある職場環境づくりに役立てたい」と制度導入の効果に
期待を寄せる。 (小蔵 裕)