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nikkeibp.jp 2006年4月14日付


官から民へのアウトソーシング市場規模は7兆8000億円--三菱総研試算


 現在国会に提出されている市場化テスト法などにより、今後、官から民にア
ウトソーシングされる業務の市場規模は約7兆8000億円――三菱総合研究所は、
国、独立行政法人、地方自治体からのアウトソーシングの市場規模に関する試
算を発表した。

 市場規模の推計は、民間の参入により削減できる公務員の人数を割り出し、
それに公務員一人当たりの人件費を掛け合わせる形で計算した。

 三菱総研では、国の省庁では現行職員数約59万人中32%に当たる18万7000人
が、独立行政法人では現行9万3000人中71%に当たる6万6000人がアウトソーシ
ングにより人員削減できる可能性があると算出した。これに各省庁などが公開
する人件費などの項目から割り出して職員一人あたりの人件費を掛け、合計2兆
4000億円という市場規模を算定した。削減できる公務員の人数は、政府の「行
政減量・効率化有識者会議」で民間にアウトソーシングすべきと指摘された業
務や、内閣府が市場化テストのモデル事業として指定した事業などについて、
それぞれ民間が参入すべき割合を独自に設定して算出した。

 地方自治体の市場規模の算出に当たっては、業務によって人員削減の可能性
のレベルを3段階に分けた。例えば政策立案機能など、民間が参入する余地のな
いものなどはアウトソーシングには向かないものであり「参入しない」と想定。
教員や保育士など、管理部門を除いて民間化できるものは該当の職員数に75%
を掛けた。自治体の窓口サービスや庶務事務業務など、民間に完全委託しても
成り立ちうるものは該当する職員数を100%参入とした。これに国の場合と同じ
方法で職員一人あたりの人件費を掛け合わせ5兆4000億円という市場規模を算出
した。

 三菱総研では「この試算はあくまで現在の公共サービスが継続されることを
前提として算出したものであり、業務の見直しなどによる業務そのものの簡素
化に伴う公務員の人員削減は考慮に入れていない」としている。また、市場化
サービス法が成立後、この市場が一挙に形成されるのではなく、「将来的にア
ウトソーシングされるべき市場を最も大きく見積もったときの潜在的な市場規
模である」としている。(塗谷隆弘)