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『産経新聞』2006年4月14日付

行革推進法案 政府「先送り」連発


≪遅かった民主対案 衆院集中審議≫

 衆院行政改革特別委員会は十三日、小泉純一郎首相出席のもと集中審議を行っ
た。行政改革推進関連五法案の実質審議がスタートしてから約五十時間を費や
したが、公務員削減などの具体像について政府側は「制度設計はこれから」と
先送り答弁を連発。民主党も同日、対案を提出したが、審議時間が残り少なく、
「小泉改革の総仕上げ」と銘打たれた重要法案をめぐる攻防は時間切れの様相
が強まっている。

 「民主党は政府の公務員の減らし方は不十分という立場なのか。はっきりし
てほしい」

 首相はこの日、行革関連法案のうち官僚の抵抗で最も実現が困難視されてい
る「五年間で5%以上の国家公務員純減」について民主党の姿勢を逆に追及し
てみせた。

 とりわけ公務員削減に消極的なのは国土交通省の出先機関の北海道開発局。
首相は「最低二、三割の純減」を自民党に指示したが、北側一雄国交相は十日
の審議で「北海道には北海道の特性がある」と慎重姿勢に終始し、政府内の足
並みの乱れを露呈した。

 政府は行政減量・効率化有識者会議(座長・飯田亮セコム最高顧問)で各省
に純減案の提示を求めているものの、作業は進んでいない。各閣僚も「六月に
具体案をとりまとめる」としてあいまいな答弁を繰り返し、野党側は「六月な
ら行革の審議は終わっている。具体案がないのに審議できない」と反発を強め
る。

 平成二十年度に実施する政府系金融機関の統廃合についても政府の立場は見
えてこない。完全民営化の方向が決まっている商工組合中央金庫の扱いについ
て二階俊博経産相は十三日、「改革が中小企業経営の将来に悔いを残すことの
ないよう仕上げたい」と述べるなど、政府の関与がどの程度残るか不透明のま
まだ。

 首相周辺は「行革法案は理念を書いた基本法だから、制度設計は法案成立後」
と本音を漏らす。民主党の委員が「簡素で効率的な政府の実現には天下り対策
が本丸だ」と指摘しても、首相は「公務員も職業選択の自由がある」とかわし、
議論はかみ合わなかった。

 民主党は十三日に提出した対案で、政府案にない官製談合防止策や、国家公
務員の総人件費を「三年間で二割削減」することなどを打ち出した。松本剛明
政調会長は、「民主党案は血税の無駄遣いを許さず、徹底的にメスを入れてい
る。(政府案の)内容はあいまいで、とても行政改革はできない」と切り捨て
た。

 十二日の「次の内閣」の会合では、政府案に反対する方針を決定。小沢一郎
代表は「自民党以上に、より鮮明で分かりやすく国民に基本的な違いをアピー
ルすることが求められている」と号令をかけ、今後の特別委で菅直人代表代行
が質問に立つことも検討している。

 「数」で圧倒する与党が来週中にも法案を衆院通過させる構えなのに対し、
対案提出が遅れたため「時間切れ」は否めないのが現実のようだ。