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『読売新聞』2006年4月12日付

新潟大 入試業務手当不払い
年で1000万以上労基署が是正勧告


 新潟大学が入試の際、教員に正当な業務手当を支払わなかったとして、新潟
労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが11日、わかった。同大は
「独立行政法人化前のやり方を踏襲してしまい、労働基準法を厳密にチェック
していなかった」と不備を認めている。昨年の入試でも不払いがあるとみられ、
総額は1000万円以上になる見通しだ。

 同大などによると、センター試験(1月21、22日)と前記試験(2月2
5、26日)、後期試験(3月12日)はいずれも土・日曜の週休日だったた
め、勤務した教職員には原則、週休日を平日に振り替える措置を取った。しか
し、事前に振り替え日を指定するなどの条件を満たしておらず、実際には休日
を取れないケースが相次いだ。

 同労基署は男性教員の訴えを受けて、3月28日に同大の立ち入り調査を実
施し、同法に抵触すると判断。代休扱いとして135%の超過勤務手当を支払
うなどの是正勧告を行った。同大の事務総括担当の菅原秀章理事は「振り替え
は利便性を考え、教職員との合意の下でやったという認識だった。意図的に払
わなかったわけではない」と釈明した。

 男性教員への不払いは、2005〜06年に従事した入試業務のうち約30
時間分、15万円前後になる見込みという。今後、同大は両年の入試業務に携
わった教職員の勤務状況を調べ、7月ごろまでに不払い額を確定し、精算する
予定。調査対象となる教職員は、退職者も含めて500人以上となり、全体の
不払い額は1000万円を超える見通しという。

 一方、教員や事務系職員に事実を公表していないことに反発の声もあがって
おり、新潟大職員組合の五十嵐尤二委員長は「全教職員にかかわる問題なのに、
すぐに説明しないのはおかしい」と大学側の対応を疑問視している。菅原理事
は「男性教員との間で事実関係を確認している最中でもあり、ほかの教職員へ
の調査の方針を決めるのに時間がかかったため」などと説明している。