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『読売新聞』2006年4月12日付

座長案「国・郷土を愛する」を明記…教育基本法改正


 自民、公明両党でつくる「教育基本法改正に関する検討会」座長の大島理森・
元文相が、12日午後の会合で提示する座長案の概要が明らかになった。

 焦点となっている「愛国心」の表記については、「伝統と文化を尊重し、そ
れらを育(はぐく)んできた国及び郷土を愛する」とする。さらに、「他国を
尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する心」と盛り込み、国際社会に貢献す
る姿勢も明確にする。

 与党はこうした座長案を軸に調整を進め、13日に与党の幹事長らでつくる
「教育基本法改正に関する協議会」を開いて、改正案を確定させたい考えだ。

 愛国心の表記を巡っては、公明党が「『愛国心』は、戦前の国家主義を連想
させ、統治機構を愛すると解釈する余地がある」などとして、難色を示してき
た。大島氏の座長案は、「伝統と文化を育んできた国」と位置づけることで、
公明党の理解を求めるものだ。

 検討会はすでに、教育基本法改正案をめぐり、「宗教教育」の表記は、「宗
教に関する寛容の態度」などを尊重するとした現行規定を踏襲することを確認
している。自民党が主張していた「宗教的情操のかん養」の明記は見送る。

 義務教育のあり方は、義務教育年限の延長を視野に現行の小、中学校合わせ
て「9年」としている年限を削除する。「教育行政」で、自民党が削除を求め
ていた現行の「教育は、不当な支配に服することなく」との文言は、そのまま
残す方向だ。

 このほか、現行法にはない、「生涯学習」「大学教育」「私立学校」「幼児
教育」「家庭教育」などの項目を新たに盛り込むことにしている。

 公明党は12日午前、拡大文部科学部会を開き、検討会メンバーの太田昭宏
幹事長代行が教育基本法改正案の検討状況を説明した。部会は今後の対応を、
太田氏らに一任することを決めた。