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知財情報局 2006年4月12日付

東北大学、スーパー大学院を実現へ


 欧米の有力大学院と真に競い合えるスーパー大学院を実現するため、東北大
学は4月1日から、国際高等研究教育機構を発足させた。総合戦略研究教育企
画室、国際高等研究教育院、国際高等融合領域研究所からなり、研究所につい
ては来年4月に発足させる。

 東北大では現在、13の21世紀COEプロジェクトが動いているが、そこから
5つの新融合研究領域が生まれてきた。国際高等研究教育院長に就任する井上
明久教授は「新融合研究領域の協力によって複眼的な視野を持った人材を育成
する。この機構はポスト21世紀COEのモデルになると確信している」と話す。

 21世紀COEプロジェクトは全学的な取り組みであるため、学部や学科といっ
た枠を越えた連携協力が必須といえる。東北大では、そうした取り組みをして
いった中で、俯瞰的に全学を見た場合、言語・人間・社会システム領域基盤、
ライフ・バイオ・メディカル領域基盤、生体・エネルギー・物質材料領域基盤、
情報工学・社会領域基盤、先端基礎科学領域基盤という5領域が自然発生的に
生まれてきたという。

 一方、野依良治理化学研究所理事長がいうように、日本の大学院教育のレベ
ルは、欧米有力大学のそれと比べると見劣りするのが現実だ。また国際競争は
さらに激しさを増しており、将来のリーダーとなるべき人材の養成は急務となっ
ている。その時重要になるのが複眼的な視野だ。

 そこで、5研究領域において分野横断的な46カリキュラムを作成。修士1年
生は必要単位中6単位を新カリキュラムの中で取得すると、国際高等研究教育
院に進むチャンスを与えられる。成績等の評価によって、50名(2・5%)が
選抜され、修士2年時には毎月15万円程度の奨学金が与えられる。博士課程進
学時にはその50人と他大学の成績優秀者から30名が選抜され、同教育院の博士
課程学生として認定される。毎月20万円程度の奨学金や学会への出張費などが
与えられるという。

 教育を担当するのは21世紀COEプロジェクトの教員120名。主専攻・副
専攻を体系的に教育システムの中に組み込み、最先端の研究指導を行う。博士
課程後期では、最低半年間は海外に武者修行に出す。

 博士課程修了後は、国際高等融合領域研究所のポスドク特別研究員になるこ
ともできる。任期は5年で、終了後は東北大の準教授や海外の大学へ就職でき
るだけの人材を育てたいという。日本学術振興会の特別研究員と同様の月額45
万円の奨学金と年間300万円程度の研究費が支給される。同研究所の専任教
員は10名程度にまで絞り込み、ポスドクを中心とした新しいかたちの研究所を
構築したいという。