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『読売新聞』2006年4月9日付

新潟大がTLOに出資、国立大で初


 燃料電池車での活用が期待される高性能の水素ガスセンサーなどの特許ビジ
ネスが好調な技術移転機関「新潟TLO」に、新潟大学が500万円を出資し、
筆頭株主になることが決まった。

 国立大学法人の企業への出資は厳しく制限されているが、文科省が3月30
日、同大の出資を初のケースとして許可した。

 新潟TLOは2001年11月に設立され、新潟県内の大学で生まれた特許
発明を民間企業が実用化する仲立ちをしている。これまで新潟大発の黄金色の
ザリガニや暗号用乱数生成法などの特許が販売されている。中でも年間200
0万円の特許実施料をもたらす"稼ぎ頭"が高性能の水素ガスセンサー。同社は
米航空宇宙局(NASA)にも売り込み中で、成長の柱に据えている。

 技術移転機関は、産学連携の推進という国の方針のもと、全国に41機関設
置された。ほとんどは赤字で、収益が上がっているのは新潟TLOなど10機
関に満たない。

 出資を決めた同大の鴫原(しぎはら)猛・前研究支援部長は2005年2〜
4月、米で技術移転の先進事例を研究した。「各大学は州などの補助金が減る
中、自己収入を増やす経営策が取られ、その一つとして技術移転機関の重要性
が認識されていた。今回の出資が国内のほかの機関への励みになれば」と話し
ている。