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『静岡新聞』2006年4月5日付

「種」育てる県版COE


 県の静岡総合研究機構と、県内全21大学で構成する「大学ネットーワーク
静岡」は本年度から、県SOE(シーズ・オブ・エクセレンス)助成事業を始
める。文部科学省の「21世紀COE(センター・オブ・エクセレンス)プロ
グラム」や「科学技術振興調整費」に採択される“種(シーズ)”となる研究
を育成するのが狙い。

 県内大学の若手研究者を優先して助成し、“次のCOE”を狙える研究を重
点支援することで、県内の学術レベル向上を図る。

 県SOE助成事業は、静岡総研が行う学術教育研究推進事業費補助金の特別
枠として設け、助成総額は年間1000万円を用意した。助成対象となる研究
分野は、県の静岡学術フォーラムで10年間にわたって取り上げてきたテーマ
「健康・長寿」と「アジア・太平洋」。1件につき年間100万―300万円
を助成し、期間は最長3年間。5月から募集を始める。

 若手研究者にスポットを当てたのは「研究実績が少なく、自前では研究費を
集めにくい状況にあるため」(静岡総研の西野勝明研究部長)。海外研究者と
の共同研究も優先する。研究成果は同ネットワークが主催する科学交流フォー
ラムで発表するほか、優れた研究は静岡学術フォーラムでも披露する。

 21世紀COEは世界レベルの卓越した研究拠点を形成するため、国が補助
金を重点配分している事業。県内では県立大、静岡大、浜松医大が1件ずつ計
3件が採択されている。西野部長は「SOEでは私立大の支援も積極的に行い、
本県独自に研究の芽を育ていきたい」と話している。

 問い合わせは静岡総研総務学術グループ[電054(249)1818]へ。

 21世紀COEプログラム 文部科学省が平成14年度から、生命科学や人
文科学など10の分野別に10―30前後のトップ大学を選び、重点的に研究
を支援する制度。研究水準の向上と世界をリードする人材育成を図り、国際競
争力ある大学づくりを推進する。県内の採択は県立大の「先導的健康長寿学術
研究推進拠点」、静岡大の「ナノビジョンサイエンスの拠点創成」、浜松医大
の「メディカルフォトニクス」。