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『毎日新聞』島根版 2006年4月5日付

島根大病院に保育所/出雲市

― 子育て環境整え女性医師増やそう ―

 出雲市塩冶町の島根大学医学部付属病院に、院内保育所「うさぎ保育所」が
できた。医師や看護師らが子育てしやすい環境を整えるとともに、福利厚生の
充実をアピールし、不足がちの女性医師を確保するのが狙いだ。(鈴木康朗)

■職員確保に役立てたい

 保育所は医学部敷地内の医学部会館1階に設けられた。教職員のサークル活
動などに使われていた和室やトイレなど約165平方メートルをフローリング
の保育室や幼児用トイレなどに改造。開設に約1500万円かかった。

 大学から委託を受けた保育業者「素敵(すてき)な時間(ひととき)」(松
山市)の保育士4人が世話をする。保育日は年末年始を除く毎日で、時間は午
前7時半から午後6時まで。延長保育も受け付ける。一日保育の保育料(月額)
は4万〜4万5千円という。

 保育所を開設した背景には、医師や看護師の不足がある。厚生労働省による
と、医療の高度化や専門化、インフォームド・コンセントの普及などで診療時
間は長くなりつつあり、医師ら医療職員の慢性的な不足が続いているという。
県も県内で今年度、看護師ら看護職員約200人が不足するとの見通しを立て
ている。島根大病院も例外ではなく、職員が集まりにくくなっているという。

 打開策として考えたのが、女性にとって働きやすい職場づくり。同病院の看
護師377人中、女性が372人(98・7%)を占めるほか、医師も275
人中、女性は50人(18・2%)。とりわけ医師の場合、現在の同大の医学
生の約44%を女性が占めるなど、割合が今後も増えることが予想され、育児
と仕事の両立可能な職場が、人材確保の面でも不可欠になっていた。

 3日には開所式があり、親が医師の子ども2人が一日保育で入所した。一時
保育の登録をしている子どもは10人前後おり、6月から7月にかけての入所
の予約もすでに入っているという。

 医学部総務課の担当者は「以前から保育所をのぞむ声が根強くあった。女性
が安心して働ける環境を提供することで、職員確保にも役立ってほしい」と話
している。県医師確保対策室の木村清志室長(49)は「医療の現場は技術の
進歩が著しく、ひとたび離れると復職は難しい。育児の支援で離職を防ぐ島根
大の取り組みはすばらしい」と評価している。