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『高知新聞』2006年3月28日付

地域創造へ新たな連携 高知市と高知大協定


 新しい地域社会の創造へ―。高知市と高知大学(相良祐輔学長)は28日、
従来の連携協定に代わる新たな協定を締結した。地域発展の方向を見定めるた
め、個別課題への対応にとどまっていた連携・協力を市政全般に拡大。高知大
は総合研究所の設置も視野に、「知」の共有と活用を図る。18年度には県域
全体をも視野に入れた総合調査や職員交流などに着手する。

 高知大は農学・理学・人文学・海洋研究などすべての研究成果やノウハウを
提供する一方、市側は大学側が求める研究・実践の場を積極的に開放。14年
の連携協議会設置協定以降、南海地震対策や教育問題など個別テーマに限定的
だった取り組みを拡大する。

 市は今後、昭和31年以来となる市の総合調査を実施。市域の自然的特性や
土地利用の現況、社会構造の分析など市の基礎データを再構築した上で、世界
の諸地域との比較も通して市の特性や優劣などを明確化。「市民が地域を知る
“百科事典”」(企画調整課)を作成した上で、次期総合計画などに反映させ
る。

 高知大は「地域との連携」を深め、国立大学法人としてのレベルを高めるた
め、地域の総合研究所設置を構想。地方分権社会に欠かせない基礎自治体や市
民の「知力」の向上へ、大学職員と市職員の協働で拠点化を図る。

 双方は大学講師らの市への派遣や、市職員の大学研修などで相互交流も視野
に入れている。

 高知市役所で協定書に調印した相良学長は「就任以来、『地方の大学から地
域の大学へ』という思いを掲げてきた。総合的な知的戦略拠点として貢献して
いきたい」、岡崎誠也市長は「中山間振興など専門性が問われる課題が多い。
地域の知恵を借りて南四国をリードする市にしていく」と述べ、新たな連携に
意欲を見せた。