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『東京新聞』2006年3月25日付

14年勤めた女性非常勤職員クビ
『道具とは違う』雇用継続命じる


 国立情報学研究所(東京都千代田区)の非常勤職員として十四年間勤めた女
性(39)が、雇用契約の更新を打ち切られたのは不当として、職員である地
位の確認などを求めた訴訟の判決が二十四日、東京地裁で開かれた。山口均裁
判官は「打ち切りは合理性を欠き、社会通念上許されない」と述べ、研究所に
女性の雇用継続と解雇時以降の給与支払いを命じた。

 女性の代理人によると、同種の訴えで非常勤公務員の雇用継続を認める判決
は初めて。長年勤めている非常勤職員の契約打ち切りは、民間であれば解雇権
乱用を認める判決が多いが、公務員の場合は行政の裁量権を広く認めているた
め働く側の地位確認請求が認められた判例はないという。

 山口裁判官は判決理由で、女性が長期間勤務していることや、研究所が契約
打ち切りの三年前に「非常勤職員の雇用は三年限り」と方針を決めていたのに
女性に伝えなかったことを「著しく正義に反する」と認定。「道具を取り換え
るのとは訳が違う。再就職の配慮をした形跡も認められない」と厳しく指摘し
た。

 判決によると、女性は一九八九年から一年ごとに更新をする形で研究所に勤
務したが、〇三年四月に更新を拒否された。