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『毎日新聞』2006年3月24日付

任用拒絶訴訟:非常勤公務員の雇用継続命じる 東京地裁


 国立情報学研究所の非常勤職員の女性(40)が、03年3月に突然辞めさ
せられたのは不当として、研究所を運営する大学共同利用機関法人「情報・シ
ステム研究機構」に雇用の継続を求めた訴訟で、東京地裁は24日、同機構に
雇用継続と月19万円余の未払い給与の支払いを命じた。当時は法人化前で女
性は非常勤公務員だった。原告弁護団によると非常勤公務員の雇用継続を命じ
た判決は初めて。山口均裁判官は「長年勤めた職員に対して任用を打ち切るの
であれば、適正な手続きを踏み、相応の礼を尽くすべきだ」と述べた。

 判決は▽女性が89年から働いていた▽99年末には雇用期間を3年とする
方針を決めていたのに女性に伝えていなかった−−ことなどから「著しく正義
に反し、社会通念上是認しえない」と指摘。「職員に対して冷淡に過ぎた。任
用を打ち切られた職員にとっては明日からの生活があり、道具を取り換えるの
とは訳が違う」と述べた。

 原告の代理人弁護士によると、非常勤公務員の雇用を巡っては任用権者の裁
量が幅広く認められており、過去の同種裁判ではことごとく退けられたという。
会見した女性は「国や地方には大勢の非常勤職員がいる。判決が、その人たち
の雇用を守っていくことに役立てばうれしい」と話した。【武本光政】

 国立情報学研究所の坂内正夫所長の話 主張が認められず残念。関係機関な
どと協議の上、適切に対応したい。