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『河北新報』2006年3月18日付

東北大、国際高等教育院設置へ 縦割り排し人材を育成


 東北大は4月、「21世紀COEプログラム」をはじめ先端分野の人材育成
に取り組む「国際高等研究教育院」を設置する。国公立大の独立行政法人化で
大学間の競争が激しくなる中、専門の縦割りを排した横断的な「学際教育」の
拠点化を図る。

 東北大では生命科学や物理学、社会科学などの分野で13件の研究がCOE
に採択され、うち5件は2006年度で国の助成が終わる。教育院は、研究を
継続し、若手を育てる基盤となる。

 4月にCOEに関係する教員が、各大学院研究科の修士課程の学生を対象に
特別講義を始める。規定の単位取得者で、研究科の推薦を受けた学生(50人
以内)を来年4月から受け入れ、本格的な指導をスタートさせる。

 学生は研究科に所属したまま、教育院で専門の枠を超えたカリキュラムで研
究を続ける。大学院とは異なるため、修士や博士の学位取得にはつながらない。

 教育院の学生は、1年後には30人以内まで絞り込まれ、さらに3年間の教
育を受ける予定。研究支援の専門職員も配置され、希望に沿った教育内容や進
路の相談に応じる。東北大は教育院を終えた学生の受け皿として、学際的な研
究を進める「国際高等融合領域研究所(仮称)」の07年度設置も目指す。

 教育院院長に就く井上明久・副学長は「複数の分野を横断する体制をつくり、
世界をリードする研究者を育てたい」と話している。

[21世紀COEプログラム] 大学間の競争を促し、国際的に通用する研究
拠点を育てるため、文部科学省が2002年に導入。対象は大学院研究科。5
年間限定で、年1億―5億円の補助金が重点配分される。