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『朝日新聞』関西版 2006年3月16日付

府立大移転大幅縮小へ 獣医学系施設に限定


 大阪府堺市にある府立大大学院生命環境科学研究科を泉佐野市へ移転させる
計画について、府は15日、当初案を大幅に縮小し、獣医学系の施設のみを移
す方針を固めた。移転に反対してきた堺市も同意する方向で、府市の対立は
「痛み分け」で決着する見通しとなった。移転計画を最優先課題として進めて
きた太田房江府知事の求心力低下は避けられず、今後の府政運営にも影響を与
えそうだ。

 同大学院の移転は太田知事が02年に表明。関西空港対岸の「りんくうタウ
ン」の約2.7ヘクタールに、研究棟や獣医臨床センターなど3棟を08年度
までに建設する計画で、大学側も「最新施設で大学間競争に勝ち残る」(南努
学長)と同調した。

 一方、堺市は「市の中核的な教育機関の縮小は認められない」と反発。木原
敬介市長が昨年末、現在地での建て替えを条件に、市が整備費のうち約80億
円を負担する独自案を提示した。2月に両府市トップが会談したが双方譲らず、
事態は膠着(こうちゃく)状態に陥っていた。

 府は府議会に、整備費約135億円を今後30年間かけて支出する「債務負
担」予算案を提出した。しかし、堺市選出の超党派の府議や堺商工会議所など
が反対を表明。当初案通りの実行は困難とみて方針を転換した。

 新たな計画は(1)移転は獣医臨床センターなどに限定(2)その他のバイ
オ研究施設などは堺で再整備――が柱。府は2月府議会に提出済みの移転関連
の予算案を修正する方針。